親のコネで就職というと世間では羨ましいと思う人が多いのではないでしょうか?
簡単に入社できて出世のレールも敷かれている。人生のイージーモードだと。
今まさに親のコネで就職しようとしている人もいるかも知れません。でもちょっと待ってください。本当にそうでしょうか?
確かに簡単に入社できます。出世もしやすいことでしょう。でも本当に思い通りに行くでしょうか?
私は親のコネでとある会社に就職しましたが、7年間勤めて辞めました。
決して仕事が上手く行かなかったわけではありません。でも耐えられなくなって辞めたのです。
私はなぜ辞めてしまったのか、なぜ親のコネでの就職は考え直した方がいいと思うのか、自身の体験を元に述べたいと思います。
1.私は親のコネで就職したことを心底後悔している
私は大学を卒業後、某メーカーの工場に就職しました。この工場には就職活動をして入社しました。
しかし、毎日同じ仕事の繰り返しで先が見えなくなり仕事を辞めることに。次はクリエイティブな仕事をしたいと思い、父親に相談しました。
父親の仕事はクリエイティブな仕事です。私はやってみたいと思いました。でも全くの畑違いの仕事です。普通には入社することはできません。
そこで父親が昔いた会社に紹介で入社することになりました。いわゆる親のコネってやつですね。
正直、クリエイティブな仕事でやりがいを求めたいというのは建前で、親のコネで楽に入社したいというのが本音だったと思います。これがそもそもの間違いでした。
親のコネで就職したことを心底後悔しています。過去の私にもう一度考え直した方が良いと言いたいです。
親のコネで就職した会社で働くということには様々な葛藤がつきまといます。
2.いくら評価されても自分が認められたわけではないと思ってしまう
親のコネで就職できるということは、あなたの親は非常に仕事のできる人間のはずです。会社側は仕事のできる信頼された人の子供だから大丈夫だろうと採用するわけですね。
私の父親も仕事ができる人間です。40代で独立し65歳になった今でも現役で稼いでます。
そんな仕事のできる父親のコネで私は入社しました。
会社で働いていると仕事を評価されて賞を貰ったり昇格することがありますよね。
私もコネで入った会社で何回か賞を貰ったり昇格もしましたが「自分の実力が評価されたわけではないんじゃないか?」という気持ちが常にありました。
「仕事のできる父親の子だから期待をこめて…」みたいな感じがするんです。もちろん私の考え過ぎかもしれません。
でも、コネで入社した負い目の気持ちがそう思わせてしまうんですね。
いくら評価されても父親のおかげと思ってしまい、自分が認められていない感覚に陥っていました。
評価されているのは「父親の子である自分」。「自分」ではないんです。
いつまで経っても自分が認められない、本当は認められているのに認められていないと思ってしまう気持ちは結構キツいものがあります。
この感覚はおそらく私の父親を知る人間が会社からいなくなるまで続いたことでしょう。私はそこまで耐えられずに会社を辞めてしまいました。
3.何かと親の話題がでる
親のコネで入社するということは、社内の人間が自分の親のことをよく知っていることが多いです。
私の場合も父親のコネで入社した会社は父親が以前勤めていた職場でした。当然、社内の人間は父親のことを知っているので何かと父親の話題になります。

父親は元気か?

はい元気だと思います。(一緒に住んでるわけじゃないし多分だけど…)

この前お前の父ちゃんと飲んだぞ!

そうなんですか。(だからなんだって言うんだ…)

お前の父ちゃんは厳しい人だったんだぞ。

そうだったんですね。(俺も厳しくされるのかなぁ…)

俺、酒が弱いんですよね

お前の父ちゃんは酒強いのにな!
このように事あるごとに父親の話題が出ます。当然相手には何の悪気もないことはわかっています。私は父親の子なんですから、父親の話題が出るのは当たり前です。
でも正直ウンザリしてしまうんですよね。父親の話題出されても無難に答えるしかありませんし。
とにかく、自分という1人の人間として見られているわけではなく、あくまでも父親の子としてフィルターを通して見られている感覚が常につきまといます。
4.職場での自分の情報が親に伝わる
家と職場で全く同じキャラの人ってあまりいないと思います。
例えば家ではひょうきんな人でも職場では寡黙で厳しいとか、逆に家では寡黙なのに職場ではユーモアがあるとか。
私の場合、父親とは照れくささもあって家では静かで冷静なキャラだったと思うんです。でも職場では冗談の一言も言いますし、会社の飲み会やカラオケでははっちゃけるわけなんですよね。
そういった職場での私の情報が職場の人を通じて父親に伝わるんです。やっぱり恥ずかしいんですよね。そんなことなら迂闊にはっちゃけることもできません。
小学生の子供じゃないんだから、学校であった子供の出来事を親に伝えるようなことはやめて欲しかったですね。
逆に知らなかったというか知りたくなかった父親の一面を聞かされることもありますし。
職場の人が悪いわけではないのはわかっています。でも親のコネで入社するということはそういうことなんです。
5.親の面目を潰してはいけないプレッシャー
私の父親は仕事のできる人間だったので、その子供である私にも当然期待がかかります。
仕事をできる人間にならないといけない、仕事を失敗してはいけないプレッシャーが常にありました。期待にこたえなければいけないと。
もし、期待に答えられず仕事ができない、失敗ばかりしたとしましょう。
普通なら自分の評価が下がるだけです。自分だけが無能判定されるだけです。
でも親のコネで入社すると、自分の評価が下がるだけではなく親の評価も下がります。お前の子供だからと思って採用したけど期待はずれだったな、と思われ親の面目丸潰れです。
あなたはそのようなプレッシャーの中でまともに仕事ができるでしょうか?親のことなんてどうでもいいと思っている人なら気にしないのかもしれません。
でも、私を育ててくれた大切な親です。自分のせいで親に迷惑をかけたくないんですね。
私はそのプレッシャーを受けながら7年間勤めました。大きな失敗をすることなく仕事をこなし、出世のレールにも乗れていたと思います。
でも結局はプレッシャーに耐えきれなくなり会社を辞めました。
最後の最後に親の面目を潰してしまったわけです。父親は独立しているとはいえ、業界は同じです。会社の人間とも顔を合わせにくいでしょう。本当に申し訳ないことをしてしまったと思っています。
6.親のコネで就職しようとしている人は考え直すべき
親のコネで就職しようとしている人は次のようなことに耐えられますか?
もし耐えられないと思うなら、親のコネで就職することは考え直すべきです。
耐えられる、プレッシャーに打ち勝ってみせるという人もいるかもしれませんが、コネでなく普通に就職できるならそうすべきです。
なぜなら、私も親のコネで就職するからには上記のことは当然覚悟の上で入社しましたが、耐えることができなかったからです。
私が弱かったからだろうと言われればそれまでですが、大抵の人は耐えられないのではないでしょうか?
芸能人やスポーツ選手の2世で成功する人はあまりいないということからもわかります。
親のコネで就職しようとしている人は、私のように後悔する前にもう一度深く考え直して下さい。
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